FC2ブログ

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

愛水心 

《 愛水心 》

ここ東京近郊では、そろそろ八重桜も見納めかという頃になって、ようやく白河周辺で染井吉野の見頃を迎えた。水の里に通うようになって、この桜の北上を知ることとなったのだが、今年もまた、ゆっくりと、1ヶ月ほどのときをかけて、桜の花をめでる事ができた。それでもまだ、水の里のつぼみは固いままなので、もう少し見られそうである。
日中の陽射しは暖かい水の里だが、ひとたび雲にかくれたり北風が吹いたら、そこはやっぱり山の上。途端に首をすくめて背中を丸め、寒い、寒いと愚痴をこぼすのである。
ようやく味噌の仕込みが終わったと、笑顔で迎えてくれた山のお母さんが、2、3日前には除雪車が通ったほどの雪が降ったと教えてくれた。いつまでも冬の名残りが消えない水の里だから、たらの芽までも躊躇して膨らまないでいる。前のおじいちゃんが大切に育てているたらの木の先っぽを見つめながら、『今年は遅いな!?』と2人でぼやいてみた。

そんな水の里にも、もちろん春の兆しは見えている。水場の葉わさびには、小さくても可憐な白い花が咲き始めたし、山菜シーズンの到来を告げる“こごみ”が旬を迎えつつある。冬の必需品である湯たんぽが、その役目を終えたのは以前に記した通りだが、今回は毛布が1枚減ったのも、また春なのである。そう、水の里であっても実はもう春なのだが、冬の面影がちらちらと現れるものだから、みんながとまどっているだけなのだ。
春の陽射しに誘われて、いろいろな方が水を汲んでいる僕に話しかけてくるようになった。中には、思わず『なにっ!!(怒)』と思わせる方も稀にいるが、多くは興味深く話しかけてくれ、『そんな水なら…』とまだ中身が残っているペットボトルを空にし、水を汲んで行くのである。この間は、2日続けて汲みにきたものだから、『また近くに寄ったら汲みに来て下さい』と声をかけると、名古屋から来たので滅多に来れないのと大事そうに水を抱えて行った母娘がいた。この水は、そんな思いにさせてくれる水なのだ。
そうと思いきや、湘南ナンバーで会津界隈をウロウロしているものだから、ちょっとクルマを停めて山菜採りなどしていると、警察の職務質問に合う事も少なくない。大抵はこの会津に何をしに来ているのかという質問を受けるのだが、この滝ノ沢の水を東京近郊の家庭に配っているのだと説明すると、目を丸くして驚く。『いろんな職業があるもんですな~!!』と驚嘆する警察官もいれば、シートベルトの検問でひっかかった警察官は『そんな人を取り締まっていいのだろうか?』と逆に自省されていた。
けれども、今回初めて、いわゆる先ほどの『なにっ!!(怒)』の警察官に出くわした。川沿いの道脇にクルマを停めていたため釣りにきたと思ったそうだが、水を汲みに来ているのだと言う事を説明すると、『なにもここじゃなく、もっと他にたくさんいい水はあるでしょう』と言い放ったのだ。どんなに足繁く通ってはいるものの、湘南ナンバーとあっては全くのよそ者であることにはかわらないのだから、職務質問を受ける事には何の抵抗もなくなったが、地元の名水を蔑むような物言いに、思わず腹を立ててしまった。後から振りかえれば、そんなに腹を立てなくてもと後悔したが、それだけ愛水心、愛村心が育まれた証かななどと思って少しおかしくなったのも事実である。
いま、国会では愛国心という言葉で様々な論議がなされている。なんだか言葉遊びをしているようで滑稽だが、つまりは自分が属しているものを侮辱されたときに、どれだけ腹が立つかなんじゃないのか、腹が立つということはそれだけ思い入れが深いはずだから…と勝手におもったりもしてみた。そんな単純な問題じゃないだろっと突っ込まれそうだが、難しい問題って結構単純だったりするんだよな…なんて、またひとりごちてみた今回の水の里であった。
- 高 志 -

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://moribus.blog68.fc2.com/tb.php/2-095fb75f

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。