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大切な場所 

開花から桜吹雪となって散っていくまで、いつもよりも少しだけ長く、淡い桜色の花を見せてくれていたが、やはりいざその時を迎えてしまうと儚いものだ。
定期的に関東を縦断している僕は、まだもう少しその花を見られるだけでも幸せ者だ。水の里はこの後、子供の節句にかけてソメイヨシノと山桜が咲き誇る予定だ。そう、ここでは桜の花を背にして鯉のぼりが空いっぱいに泳ぐのである。
そうして、山桜が満開になる頃には、木々の若葉も映え、モノクロームであった山肌がやさしいパステルカラーに彩られる。秋の紅葉シーズンももちろん良いものだが、この春のやわらかな山肌も実に気持ちを穏やかにしてくれる。自然が織り成す美しさに、心はなんて癒されることだろう。小鳥たちのさえずりもまた、耳に心地よい。
春の陽射しに照らし出された沢の水が、キラキラと美しい輝きを放ち、自然と気持ちが昂揚してくる。人の心はどんなにか、自然に影響を受けているかが感じられる瞬間だ。
これだけ、都会の人工物のなかにどっぷり浸かっているものでさえ、影響を受けているのだから、普段から自然の中で生きている物たちは、もっと敏感に反応しているに違いない。そう、山菜たちなど尚更のことだ。
旬は一瞬にして、やって来ては過ぎ去ってしまう。タイミングを逸すれば、また1年後を待たなければならない。今年は、暖冬であったようだから、余計にそのタイミングを見計らわなければならない。つまり、こまめに何度も山を歩け、ということだ。
ふきのとうが花を咲かすと、いよいよ"こごみ"のシーズン到来である。でも、その旬は良くて2、3日。天気が良く、気温が高いと1日で旬が過ぎてしまう厄介ものだ。それだけに、この"こごみ"ファンは多い。他の山菜はいらないけれど、"こごみ"だけは欲しいという方もいらっしゃる。クセがなく、天ぷらにしても、お浸しにしても、炒め物に入れても合う万能な山菜だ。特におすすめなのは、さっと湯がいた"こごみ"をクルミとマヨネーズで合えたもの。とにかく、"こごみ"があれば、それだけで食卓を彩ることができるのだ。

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